薄いレースのカーテン越しに、街のネオンが透けて部屋の床を淡く染めている。
シースルーの距離
「その服、なんかいつもと雰囲気違うね」
床に座り、ローテーブルのグラスをいじる彼が、不意に私を見上げて言った。お気に入りのシースルーのシアートップス。肌が透けて見えるその薄い布地は、今の私たちの、近くて遠いじれったい距離そのもののようだった。何度も私の部屋に遊びに来ているのに、お互いに一定のラインを越えようとしない。
「そう? 別に普通だよ」
私は動揺を隠すように、キッチンから持ってきた冷たい缶ビールを彼の隣に置いた。彼が小さく笑って、その缶を受け取った。プシュッという小気味いい音が、静かな空間にやけに響いた。
透き通る空気
夜が更けるにつれて、部屋の空気は密度を増していく。彼が少しだけ体勢を変え、私との距離が縮まる。ほんの少し近づくだけで、言葉にできない二人の間の空気が微かに揺れる。
「エアコン、ちょっと強いかな」
彼が呟く。でも、私の心はむしろ、緊張からかじわじわと熱を帯び始めていた。彼の視線がこちらを静かに捉え、その真剣な眼差しに鼓動が早くなる。
私たちは見つめ合ったまま、次の言葉を探すのをやめた。部屋の隅でかすかに回る換気扇の音だけが、私たちの間の張り詰めた沈黙を際立たせている。
曖昧さの向こう側
彼はグラスをテーブルに置くと、ついに静かに口を開いた。
「隠せてるつもりかもしれないけど、考えていること、なんとなく分かるよ」
彼の低い声が、静かな部屋に響く。隠したかった戸惑いも、彼に対する期待も、この部屋という閉ざされた箱の中ではすべて見透かされているようだった。
言葉が途切れ、お互いの存在が急に大きく感じられる。これまでの曖昧な関係から一歩踏み出すかのような、決定的な瞬間が近づいているのを感じていた。


