窓から差し込む西日が、ワンルームの床に長い影を落としている。
夕暮れの焦燥
狭い部屋の中に、不自然なほど静かな時間が流れていた。私はソファの端に腰掛け、膝の上で指を絡めている。すぐ隣には、会社の同期である彼が座っていた。
「結局、何もしないままこんな時間か」
彼が小さく笑い、首元を緩める。その瞬間にかすかに漂った、彼がいつもつけているシトラスの香水と、夕方の乾いた肌の匂いが、狭い空間の密度を急激に上げた。
私たちはただ、お互いの家が近所だからという理由で、突発的に私の部屋に集まっただけだった。テレビの音は消えている。ただ、沈みゆく太陽の光が、部屋の隅にある古びた木製のチェストを赤く染めていく。この部屋の空気そのものが、熱を帯びていくのを感じていた。
触れる体温
言葉が途切れ、沈黙が心地よく、同時にひどく息苦しくなる。
「喉、乾かない?」
私が立ち上がろうとした瞬間、彼の手が私の手首に触れた。熱かった。驚くほど静かに、けれど拒絶を許さない確かさで、彼の指先が私の肌に沈む。
「いや、まだいい」
彼の視線が、私の目から、少し開いたシャツの襟元へとゆっくり動いた。見つめられている場所が、じわじわと爆発しそうなほど熱くなる。部屋を包む夕闇が濃くなるにつれて、お互いの吐息の音が大きく聞こえ始めた。
彼はゆっくりと体を引き寄せ、私たちの肩が触れ合う。衣服が擦れるわずかな音が、耳元でやけに生々しく響いた。
境界線の崩壊
部屋の明かりはつけない。暗がりの方が、お互いの表情が隠せて都合がよかった。
「ねえ」
私の声は、自分でも驚くほど震えていた。彼は何も答えず、ただ私の濡れた瞳をじっと見つめ返してくる。その瞳の奥にある熱に、体中の細胞がざわめくのを感じた。
彼の自由な方の手が、私の髪に触れ、耳の後ろをそっと撫でる。冷たいはずの指先が、今の私には熱を帯びた刃物のように思えた。部屋という逃げ場のない箱の中で、二人の呼吸が完全に重なる。
あと数センチ。彼がわずかに顎を引けば、すべてが変わってしまう。私は目を閉じることができず、ただ彼が境界線を越えてくるその瞬間を、張り詰めた体で待ち続けていた。


