無防備なノック
「ねえ、本当にそのまま始める気?」
私はわざと幼さを残した口調で、少しだけいたずらっぽく笑ってみせた。
普段は「幼いね」なんて言われる私だけど、この部屋の重厚なドアを閉めた瞬間から、自分でも驚くくらい熱い何かが身体の奥で疼いている。
ホテル独特の柔らかな間接照明が、私のあどけなさが残る横顔を照らしていた。
けれど、彼の視線は私の瞳の奥を射抜くように捉え、離そうとしない。
「その顔でそういうこと言うのは、ずるいよ」
彼の手が私の腰に添えられ、服の生地越しに確かな熱が伝わってくる。
布地が擦れ合う微かな音が、静まり返った室内で鼓動のように響いた。
加速するギャップ
彼の手がゆっくりと引き寄せると、触れ合った肌から体温が混ざり合い、私の思考を一瞬で白く染めた。
「……そんなに見つめられたら、動けなくなる」
「隠してたでしょ。君がこんなに熱いなんて」
ささやくような彼の言葉に、耳の奥が熱くなる。
普段の私からは想像もつかないような、秘められた感情が引き出されていく感覚。
互いの吐息が重なり合い、空気を吸い込むたびに頭の芯が痺れていく。
見つめ合う視線の間で、言葉にならない緊張感がホテルの部屋の空気をじわじわと濃密に変えていった。甘い罠の底で
彼は私を優しく包み込み、決して逃がさないという意志を伝えるかのように強く抱きしめた。
自分の外見とは裏腹に、今ここで彼に求めている大胆な自分に、胸が締め付けられるような甘美な目眩を覚える。
ホテルの密室は、日常を忘れさせるための完璧な装置だった。
彼の熱い吐息が耳元をかすめるたび、理性で抑えていた感情が完全に溶け出していく。
「もう、戻れないよ」
彼の低い声が私の芯を揺らす。
これまでの友人としての距離をすべて置き去りにして、お互いの存在そのものに狂おしいほど惹きつけられていく。
私はその情熱に身を委ね、さらに深い感情の渦へと自分から踏み込んでいった。


