白く清潔なカーテンが、窓から吹き込む風に小さく揺れている。
張り詰めた静寂
「あの、本当に僕の相談、乗ってくれるんですか?」
少し緊張した面持ちで、彼はパイプ椅子の端に腰掛けていた。私は看護師として働く病院の、誰もいない夕暮れの相談室で彼と向き合っている。恋愛や自分の体に対する自信のなさを吐露する彼の姿は、どこか初々しく、同時に危うげだった。
仕事柄、男性の悩みには慣れているつもりだった。けれど、この閉ざされた部屋の中で、彼のまっすぐでウブな視線が私に向けられるたび、いつもとは違う緊張感が胸の奥をかすめていく。
「大丈夫だよ、ゆっくり話して」
私がカルテをめくる手を止め、彼を見つめ返すと、二人の間に言葉にできない沈黙が流れた。衣服が擦れるわずかな音が、やけに鮮明に部屋に響く。
重なる熱量
「君の手、すごく暖かそうだね」
彼が私の手元を見つめながら、ぽつりと呟いた。その真剣な眼差しに、私の胸の奥がキュンと疼くような感覚を覚える。
私は躊躇いながらも、彼の震える手に自分の手のひらをそっと重ねた。驚くほど熱い体温が、肌を通じてダイレクトに伝わってくる。彼はビクッと肩を揺らしたが、拒むことなく私の手を握り返した。
「あ……ごめんなさい」
彼の吐息が、すぐ近くで熱を持って揺れている。見つめ合う時間の長さが、お互いの体温をじわじわと上昇させていく。この狭い部屋の温度が、一気に数度上がったかのような錯覚に陥る。
理性の境界線
窓の外はすっかり暗くなり、部屋の中は淡い常夜灯の明かりだけが二人を照らしていた。この閉ざされた空間の中で、私の意識は彼の存在だけで完全に満たされていく。
彼はゆっくりと、でも確かな意志を持って、私の方へと体を傾けてきた。彼の少し荒くなった呼吸が私の首筋を掠め、ゾクリとした震えが全身を走る。ウブな彼からの無言の、けれど強烈なアプローチに、私の理性は音を立てて崩れかけていた。
「もう、引き返せないよ」
彼の濡れた瞳が至近距離で私を捉え、お互いの呼吸が完全に重なり合う。これまでの関係という境界線を踏み越えて、すべてを委ねてしまいたいという衝動が、爆発寸前の緊張感の中で私たちのすべてを支配していた。


