ネオンの残像と、平坦なシーツ
歌舞伎町の喧騒、ひび割れたネオンの光が、私の網膜の裏側でいまだにちかちかと明滅している。
何杯目かも分からないアルコールは、私の思考の輪郭をすっかり曖昧にしていた。気が付けば、私は見知らぬホテルの静かな一室に、何人かの男たちに囲まれるようにして佇んでいた。
部屋の中央に置かれた大きなベッドのシーツは、まだ誰の体温も吸い込んでおらず、冷たく、不自然なほどピンと平坦に張られている。
「ずいぶん酔ってるね。少し休んだら?」
誰かの低い声が、濁った水の底から響くように耳に届いた。
私はその声の主が誰なのか判別できないまま、ただ寝返りを打つようにベッドの端へとしなだれかかる。衣服が擦れるカサカサとした音が、静寂の中で奇妙に浮き上がっていた。私を見下ろす複数の視線が、暗がりの中で交差し、部屋の空気がじっと張り詰めていくのを感じた。
交差する気配と、乱れる織り目
一人が私の隣に腰掛け、別の誰かが私の背後にそっと気配を寄せた。
どしり、と大きな重みが加わるたびに、平坦だった白いシーツに、いくつもの不規則な皺が深く刻まれていく。それは、私の中に残っていた「日常」という防壁が、彼らの存在によって容赦なく歪められていく兆しのようだった。
「手がすごく熱いよ」
差し出された誰かの掌が私の指先に触れ、また別の誰かの吐息が、私の首筋をそっと掠めていく。
アルコールの熱と、彼らがまとう異なる香水の匂いや煙草の残り香が混ざり合い、部屋の酸素をじわじわと奪っていく。
見つめ合う時間の長さが、一対一の対話ではなく、集団という圧倒的な質量を持った「間」へと変質していく。私の身体の芯は、酩酊と彼らの体温の伝播によって、耐えがたいほどの熱を帯び始めていた。
融解する夜の深淵
ついにベッドのシーツは、私たちの複雑に絡み合う境界線を証明するように、ぐしゃぐしゃに波打ち、その原型を失っていた。
暗闇の中で交わされるいくつもの視線は、もはや個人の識別を拒み、ただ一つの大きな熱情のうねりとなって私を捉えて離さない。
誰かの強い指先が私の髪を梳き、別の手が私の肩を優しく促す。そのすべての動作が、私をこの夜の深淵へと引きずり込んでいく。
理性のスイッチが完全に切り替わり、社会的な名前も立場もすべてが消え去ろうとする刹那の瞬間。私はただ、自分を取り囲む圧倒的な数の熱量と、どこまでも深く沈み込んでいくベッドの感覚に身を委ね、このまま夜の一部になってしまいたいという衝動に駆られていた。


